第37回『もし』
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もし、今までの悲しみや怒りや苦しみを忘れて、新しく今日を始められたらどんなに良いでしょう。 もし、あなたの過去から楽しいもの、綺麗なもの、嬉しいもの、美しいものだけを取り上げて、後はみんな水に流すように、手放すように、燃やすように、消えていったらどんなに素敵でしょう。 できますかって? できるんです。 実は。 だって、あなたのこころですから。 あなたが創ったんですから。 みなさん、なんかよくわかんないこと、イラつくこと、こだわること、怖いことなんかをまとめて隅に放り投げておいたら、いつの間にかくっついちゃってどうにも片付けられなくなって、ところどころに、楽しいことや、幸せなことは混じっているのだけれど、もうどうやって取り出したらいいかわかんない、って感じなのです。 人によっては、ちょっと物置みたいなところにただ放り込んでそこさえ見ないので、もう今にも部屋が決壊しそうなことさえ気づかないのです。 (決壊すると大変なことが起こります。) ちょっと悪臭を放っていたり、触れるとすごく痛かったりする人もいますが、よーくよく見てください。 すると、「ああ、これはあの時のアレだな」とか「あの時はほんと嫌だった」とかパーツが見えてきます。 これはみんな、あなたの「忘れない」「忘れられない」「忘れるもんか」という想念の力でくっついているので、断捨離のように、一つ一つ見て、ああこの記憶はときめかないな、もういらないなと思えば捨てれば良いだけです。 これをちゃんとせず放ったままになっていると、歩く度につまづくのに気づかないなんてこともあるのです。 捨ててしまえば、「ああ、そんなこともあったね」といった、今のあなたになんの影響も及ぼさない平坦な記憶となるのです。 「こんなに嫌な記憶なのに捨てられない!」って四苦八苦する方もいますが、別に嫌だから捨てられるわけでもなく、むしろ「許せないから、捨てたくない」なんてことも多々あります。 「なんだ、一切今の自分にいらなかった」と芯から思えれば、全部いっぺんに消えて無くなくなることだってあるのです。 今のあなたは過去のあなたが創ったもの。 これからのあなたは今のあなたが創るもの。 今だけが変換点、ある日思い立って、猛烈に頑張って、家の中を空っぽにすることだってできるじゃないですか。 それと同じ。 もう本当にスッキリしたら、今度は何を置きましょうか。