第5回 心のありか
心のありかがどこにあるか、ご存知ですか?
胸? 頭?
いやいやそういう話ではありません。
不安な人に、ちょっと訊ねてみます。
ーいつも、どんなことを考えていますか?
「えっ・・もし具合が悪くなったろどうしよう。」とか、
「なにか言われたらどうしよう。」とか。
ーう〜ん。つまり来るかどうかわからない未来の話ですね。
「まあ、そうです。」
ー他には、どうです?
「あの人に、あんなこと言っちゃったけど、気を悪くしなかったかな。」とか、
「あの時、あんなことがなければこんなことにならなかったのに。」とか。
ーう〜〜ん。もう終わってしまった過去の話ですね。
「まあ、そう言えば、そうです。」
まあ、私がこんなに唸ったかどうかは別として、不安な人だけでなく、
多くの人がこころを未来や過去においてしまい、今に生きていません。
「心ここにあらず」なのです。
皆さんは、過去現在未来を1本の線として捉えているかもしれませんが、
実は違います。
過去は記憶の中にしかなく、未来は想像の中にしかありません。
いつも私たちにあるのは「今」だけです。
私たちがすることは、
過去がどうであろうと、「今、どうするか。」であり、
未来がどうなるかは、「今、どうするか。」だけが私たちにできる全てなのです。
なので、「今」の使い方を私なりに紹介したいと思います。
まず、人生の力点である「今」に何をこめるかで、過去が変えられます。
例えば、「今、生きて、呼吸をしていること。」
このことにあなたが、はち切れんばかりの「幸福」をこめたとしましょう。
そうすると、「過去」はあなたにとってどうでもいいことか、
もしくは何があったとしてもこれで良かったと許すこと、
さらに言えば感謝することができます。
もしあなたが、このことに死ぬほどの「不幸」をこめたとします。
すると、まったく同じ過去が、あなたにとって決して忘れられない失敗であり、
許しがたい汚点になります。
「幸福」をこめるか、「不幸」をこめるかは、実は状況とは一切関わりません。
ただ、あなたが「今」をどうとらえるかだけが問題であり、
どうするかだけが未来を握るのです。
では、人生の力点である「今」をどうするか?
可能だと思う、最も幸福な未来を思い描きます。
今、そのために出来ることを精一杯やります。
それだけです。
それだけなんです。
ゆめゆめ今を無駄になさいませんよう。