第46回 『そのこころは』
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一億稼いだ。 東大に入った。 みんなから称賛された。 いいことですか悪いことですか? 子供を叱った。 離婚した。 いいことですか悪いことですか? 信号を無視した。 腹を切り開いた。 人を殺した。 これはどうですか? 皆さん、その事柄を見て、その結果を見て、いいとか悪いとか。 ルールを無視したら悪いとか。 人より優れていたらいいとか。 だから羨ましいとか、だからいけないとか。 本当ですか? 例えば、腹を切り開いた。 いけなさそうです。 でもそれが、お腹の子供を取り上げるためだったら。 でもそれが、拷問だったら。 でもそれが、武士の定めだったら。 ね。 物事は結果ではなく、そのこころ。その意図。その内容が問題なのです。 子供を叱った。 大概の人は、それをしつけだなんだと言いますが、 そのこころは愛情からではなく、 不安から、(叱らないとこの子がちゃんと育たないのではないか)とか、 プライドから、(この子がきちんとしていなかったら、親の、教師の私が恥ずかしい思いをする)とか、 下手をすると、自分のイライラの吐け口だったりします。 なのに、叱っている本人でさえ真実に気が付かず、「自分はいいことをしている」 「当たり前のことをしている」なんて言います。 ですが、知ってください。 例え同じ言葉で叱ったとしても それが、愛情からか、不安からか、プライドからか、単なる吐け口かで、全く未来は違うのです。 例え言葉にできなくとも、ちゃんと相手には伝わるのです。 みんなから称賛されても、 それが自分のなりたいものでなければ、かえって苦痛です。 一億稼いだって、使い道がなければ苦労の種だし、 憎しみや、恐怖から一億稼ぐ場合だってあるのです。 結局、なんのために一億稼ぐのかが問題なのです。 こころを知ってください。 そのこころが常に問題なのです。 世の中はこころが見えないので、しばしば結果で判断します。 だから、間違うのです。 でも皆さんは、自分のこころを知っています。 なんのためにそれをしているかで、同じ行為でも未来が変わること、 みんなが称賛しても、あなたにとっては不幸だったり、 みんなが責めても、あなたにとっては限りなく大切なこともあるのです。 自分のこころを偽らないように、なんのためにこれをやっているかをはっきりと意識していれば、それに相応しい結果は必ずついてきます。