第3回 脳みそ3原則
君は自分が嫌いだ。
オッケー。
じゃあ訊くけど、その嫌いな自分を作っているのは誰?
そう。
君の「脳みそ」なんだ。
いいかい、そいつは言っておくけど、本当の君じゃない。
脳みそは君のものだが、君が脳みそじゃないんだ。
僕らが自由に表現したいのに、いちいち口出しして身動き取れなくする。考えたくもないことで、頭をいっぱいにしてくる。
君が自分を嫌いなのは、もしかしたら君のせいじゃなくて、君の脳みそのせいかもしれない。
だからだからこいつのことをよく知って、握り振り回されないようにしよう。
そこで大事なのは、
「僕らの脳みそはバカだ。」
うん。こんな感じ
彼は与えられた情報から推論し指示を出すんだけど、実はできの悪いパソコンみたいなんだ。
エラーが何度も出たり、とっくに改変されているのに、いつまでも古いルールでしか対応できない機械ってあるじゃない。
何も知らずに、それが全てだと思うと、がんじがらめになって身動きが取れなくなる。
おバカな彼のやったことを、自分のせいだと思い込み嫌いになる。
さて、ここで押さえておくべき「脳みそ3原則」を述べてみよう。
その1 「彼はすごい思い込みが激しい」
自分の経験をもとに推論しているに過ぎないのに、「脳みそ」はそれが正しい、それこそが真実で全てだと思いがちなんだ。
考えても見てよ。
この世界のこの宇宙の情報の中で、個人個人が経験できることなんて、微々微々微々たることだと思わない?
なのにそのささやかな情報で「これはこういうものだ!」
「あれはああいうものだ!」と自分を縛り相手を裁いてしまう。
そもそも自分の経験と相手の経験は違うんだから、推論が違って当然なんだと僕は思うんだけれども。
これがわからないと、「小さい時からこれが正しいと言われて育ったから。」なんて理由で一生自分をがんじがらめにした上に、自分のルールに合わない人に食ってかかって生きていくことになる。
よく「礼儀がなってない!」
なんて怒鳴り散らす人がいるけど、
礼儀や作法の形は時代や地域でいくらでも変わるものだし、
大事なのはその「こころ」の方だと思うんだけれども。
形だけ咎めて、怒鳴り散らしたって「こころ」は治らない。
そもそも怒鳴り散らした時点で、その人は絶望的に礼儀がないのに、
そのことに本人は気がつかないんだ。
これがおバカな脳みそのなせる技。
「自分が正しいと思っていることは、実は単なる脳みその思い込みじゃないか?」
こう気をつけよう。
その2:「メチャメチャ勘違いが多い」
お化けを怖がってて、お化け屋敷でちょっと黒っぽいものが落ちてると、
「きゃーっ!やめてよー!!」なんて、よくあるでしょ。
ビクビクしている人は、こっちは全然怒ってないのに、
「だって、顔が怖かったから、怒ってるかと思った」となんて、
自分の感情で判断を誤るんだ。
「お化けは怖い」
「叱られるのが怖い」という思い込みが事実を歪めちゃう。
そういう思い込みからできた、「勘違いメガネ」をみんなかけて生きてるようなものなので、同じ状況を見ても答えは千差万別になるんだ。
おまけに慌ててたり、怒っていたりするとたやすく状況を見誤る。
「僕らの脳みそは、感情が不安定だとたやすく誤作動する。」
これも覚えておこう。
その3 「勝手に作動する」
これもあるでしょ。
例えば心配事や、やることがたくさんあると、明日のことばかり考えて、
「寝なきゃ」「早く寝たいのに」と思っても寝られなくなる。
「今日こそ食べないぞーっ。」と思ってもついつい食べちゃう。
「もう買わないぞーっ。」と思ってもついつい買っちゃう。
こういうことは意志が弱いんじゃなくて、
より本能的・動物的な条件反射が作動しているんだ。
強烈な快感を得たり、強い執着が持続すると条件反射が出来上がり、
勝手に作動して自分のコントロールから外れてしまう。
僕らの脳みそは体裁を繕ってはいるけど、実はメチャメチャ欲望に弱いんだ。
「付き合い上断れないんで、どうしても飲まざるを得ないんですよー。」
なんて、「脳みそ」のいいそうなセリフ。
「やめられない」ことがあったり、どうしても「なっちゃう」ことがあったら、
脳みその罠にはまっていると思って、自分をごまかしたり、責めないで、ちゃんと対応策を講じよう。
「僕らの脳みそは、僕らの感情に反応し、勘違いしまくりながら勝手に思い込み、もはやしたくないと思っても勝手に作動しそれを取り繕う傾向にある。」
うふふ。これを攻略するんだよ。
さて、ぼくらの脳みそがいかにおバカかわかったら、
こいつらが作り出した世界を見に行こう。
そしてこの厄介者から
自分を救い出そう。