第43回 『ただ、ぼーっとする』
もし、あなたが北海道に行ってみたい。そこに住んでみたいと思ったとします。
初めはワクワクする気持ちで、「いいなあ。素敵だなあ。そこでああしてこうして」なんて思っていたのに、「そんなことより、目の前のことだろ」と思い直したり、仕事がどっさり舞い込んだり、「お金がかかるし、冬は寒いじゃん」なんて言われたり、「親の面倒どうする」なんて思ったり。
いつの間にか、初めの気持ちはかすれてどこかにいって、毎日毎日あくせくあくせく。
やれ税金だ、手続きだ、外出は怖いだ、お金がかかるだ。
家族の面倒を見なくちゃならないし、日々の生活はあるし、今日目の前の片付けなければいけないことが一杯で、もう「北海道」なんてふき飛んでいます。
そうこうしているうちに、自分は毎日こんなに忙しく働き頑張っているのに、ちっとも幸せになれないことに気がつきます。
「何でこんな生活しているんだっけ」
「私は、本当は何をしたいんだっけ」
「そう言えば北海道に住みたいなんて思っていたような」
ふと立ち止まって思い出しても、テレビはひっきりなしに、ああしたほうがいいこうしたほうがいいって言ってくるし、やらなきゃいけないこと山積みだし。
周りの騒音と要求が多すぎて、自分を見失ってしまうのです。
ですから、
ただ、ぼーっとしてください。
一人で、誰にも煩わされず、不安や心配事は全部脇に置いて、
そうすることを自分に許して。
ただぼーっとする。
ただぼーっとする。
ただぼーっとする。
できれば自然の中がいいでしょう。
そういう時間を人生に組み込んだって、ちゃんと世の中回っていきます。
それを咎める人とは距離を置いて。
テレビのスイッチや煩わしい人間関係は切って。
あなたがそれを習慣にすれば、誰も何にも言わなくなります。
ただぼーっとする。
ただぼーっとする。
ただぼーっとする。
すると、北海道のことを思い出します。
そこに行って、住みたかったことを思い出します。
自分が本当に何をしたかったか思い出して手放さなければ、
雑踏に揉まれ、どこに行き着くのかわからないような人生から、
雑踏の中でもしっかりと目標を見据え、人波をかいくぐって進む事ができます。
そうして、目標に必要のない仕事や人間関係を整理していくと、いつの間にか
同じ方向に向かう人の流れに乗ることになるのです。
それがどんな目標でも、同じ目的の人と助け合って生きていったら、どんなに楽でしょう。
「何であんなにあくせく働いていたんだろう」
「何でみんなあんなに大変そうなんだろう」
昔の自分が、まるで人ごとのようです。
ただぼーっとして、自分の未来を掴んで
そこに向かって動いて、
また、わからなくなったらぼーっとして。
ほんとは、ね。
簡単なんです。