第3回 リーキーガット症候群
腸にはたくさんの細菌たちがひしめいて生態系を作っている。
このことはすでにご説明しました。
では、この生態系が破綻し、豊かな森が荒地になるとどうなるか、これをご説明しましょう。
私は、47歳でとても悪性度の高い癌になり、顎の骨を再建しました。
その折熱が下がらず、とても長い期間抗生剤治療を受けたのです。
その後、造影剤やアルコールにアレルギー症状を起こすようになり、
慢性の湿疹と便秘にいつも悩まされるようになりました。
その時は、自分の体に何が起こっているのか、医者なのに、知りませんでした。
湿疹には軟膏が、便秘には下剤が、それしか治療法を知らなかったからです。
従来の検査で不調が治らない私は、腸内細菌検査・毛髪ミネラル検査、環境毒素など、
従来の手法とは全く違う方法で検査をしていただける医療機関を受診し、検査をしました。
その結果が、「リーキーガット症候群」でした。
私たちが口にした食べ物は、唾液や胃液や膵液などで分解され吸収しやすい形になって腸に運ばれ、
それは私の栄養のみならず細菌たちの栄養になり、その細菌が作ってくれるものを私たちが取り込み共生しています。
カビ菌カンジダのように、多くなりすぎるととても厄介な奴から、
乳酸菌のように優しくいい奴まで様々です。
ところが、私のように「抗生剤の大暴露」を受けたり、そうでなくとも長年の加工品に含まれる防腐剤の摂取や
残留農薬などにより腸内細菌が貧困化すると、丁度荒地のように腸管上皮細胞のつなぎ目がひび割れ緩み、
その隙間から本来入ってはいけないウィルスやまだ分解されきってない未消化のタンパク質、
重金属などの毒素が体に入ってしまいます。
このことを「リーキーガット症候群=腸漏れ症候群」と呼ぶのです。
便の6割は腸内細菌の死骸でできており、腸内細菌の貧困化は、当然ひどい便秘を生み出します。
荒れた腸から入った毒素は体全体にも炎症を引き起こします。。
免疫は過剰に反応し、金属アレルギーや蕁麻疹、ひいてはクローン病や潰瘍性大腸炎、
その他諸々の自己免疫疾患を引き起こします。
慢性疲労やうつ病・発達障害や認知症と腸内環境の悪化は関係しています。
私についた病態は、カンジダ腸炎によるリーキーガット症候群、亜鉛欠乏、体内の水銀汚染などなど。
ここから私は巻き返すのですが、何より驚いていることは、
ここでついた病態の何一つ、日本の保険診療では見つけ出せないことです。
そんな病態も、そんな疾患も無いことになっているからです。
土がどんどん病んで死んでいくのも知らず、化学肥料に頼るように。
当たり前と思っていることが、当たり前でなく、当然と思っていたことが当然ではないのです。
ある意味、我々が普通と思っている食生活をしている人は、大なり小なりリーキーガット症候群なのです。
とんでもない病気が発症してからでは、もう取り戻せないません。
どうかどうか、このことに気づき、体をもうこれ以上汚さないように。
その方法を、少しずつ書き進めていきます。