第48回 『何度言ったらわかるんだ!』
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「何度言ったら分かるんだ!」 って、なんだか、馬鹿な人に言う常套文句みたいな。 前々から、「この文句って、本当に変だな」って思っていたので、今回はそのお話をします。 「何度言ったら、分かるんだ!」 これは、何度言っても相手が分からない状況にあるってことです。 相手が理解できない状況が持続しているのに、何度も同じことを繰り返しやっているってことです。 スイッチを何度押しても開かないドアに向かって怒鳴り散らし、しまいには蹴飛ばす人みたいじゃないですか? もしかして、自分がボタンを押し間違えていたり、そうじゃなくとも、せめて、警備員を呼ぶとか、近くの人に訊くとか、他のやり方が、あるんじゃないですか。 これがスポーツ選手のコーチだったら、たった一つのやり方しか知らずに、馬鹿みたいに繰り返して、失敗するのは選手の出来が悪いからだとなじって、選手を潰していくく・・・ 最低なコーチングじゃないですか。 「何度言っても、どうしてお前はわからないんだ!」って、 「何度やってもうまくいかない方法を、何でお前はまだやってんだ!」 ってことです。 「あんたのやり方が悪いからだよ」 としか言いようがありません。 だから、この言葉を聞いた人、言われた人は、全員こう思ってください。 「何度言ったらわかるんだ!」 は、翻訳すると、 「俺は、指導者として、先達として、親として、無能なんだ!」 と叫んでいると。 そう思ったら、気が楽になります。 あなたの役目は、どうやったら分かるのかを、相手に教えてあげること。 「怒鳴らず言ってください」 とか、 「紙に書いて教えてください」 とか。 でも、そう言うともっと怒る人もいます。 そういう時は、からまないで、 そっと離れるように、あなたの自尊心は失わず、 できるだけ、離れるようにしてください。 方法を教えても、それをやりたくないということは、 教えたいのではなく、怒鳴りたいのです。 俺は、お前より偉くて強いことを証明したくて、 自分の無能を曝け出しているのです。 裸の王様ですね。 相手の本当の意図がわかれば、対応も変わってきます。 パニックにならず、冷静に相手の本心を見破れば、もう、怖くはないのです。